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節分といえば花ちゃんでしょ!
という事で帰宅する頃には支部やらついったに花ちゃんが溢れてると思ったらそんな事は無かったぜ…orz
大丈夫だきっとこれから盛り上がる筈…と信じて昨日の午後フォロワさんと話して昨夜即興で書き上げた節分SS上げておきます。
私が書く初のフラワーズ小説じゃないだろうかこれ…?
短いです。羽花羽でアル花みたいなノリです。
葉もハオもアンナも出ませんが読んでやんよ!という方は続きをどうぞ。






節分ヘブン(仮題)


「花君、これ」
「あ?」

昼休みの屋上で、遠い親戚に当たる少年がおずおず差し出したモノを見て花はギョッと目を丸くする。
遠慮の欠片も無いあからさまなドン引きの様子に、渡した少年───葉羽が何で引くの、と慌て出す。
その手には受け取ってもらえなかった赤いラッピングの平たい小箱。ご丁寧にもリボンまで巻き付いている。

2月の初旬という時節柄。
そしてこの月の前半限定でやりとりされる事で特殊な意味を持つ小箱。
恐らく中身はチョコレートなのだろう。もしかしたら、中二だけにダークなチョコかもしれない。

「一応聞いてやるが・・・何だよ、コレ」

恨みがましく呟く花の目にはギラギラと殺気を放つ苛立ち。
男が男にチョコを渡すという茶番で馬鹿にされているのならまだいい。いや、仮にそんな事をする輩がいればホワイトデーを待たず物理で倍返ししてやるのだが。
それよりも、むしろ。
この山奥育ちの親戚が、多分、恐らく、きっと、いや絶対に、この時期にチョコを他人に渡す意味を理解していないという事そのものに花は遣り場の無い苛立ちを感じていた。
別に気にしなければ済むのに気にしてしまう。
世間知らずで時代遅れの生ける化石にツッコミやらフォローやらをするのは自分に課せられた義務ではないのに、何故か花は苛立ちを感じながらも相手のトンチンカンな言動を適当に流す事ができずにいた。
自分で尋ねておいて自分でイラつく無駄な質問に答えなど欲しかったわけではないが、イラつくほどに律儀な相手は真顔で返事をする。

「え、チョコレート、だけど」
「そーゆー意味じゃねーよ!!」
「えっ!?何で怒ってるの花君!??」
「・・・・・・」

あたふたとワケも分からず慌てふためく純粋培養の相手を見て花はふうと深く溜め息をつく。
そんな様子を見ていくらか安心したのか、葉羽も戦々恐々としながらも手にしたラッピングを解き始める。

「実は花組から貰ったんだ」
「あいつら・・・。オレにはくれねーのに葉王(あいつ)の直系だからってエコ贔屓しやがって・・・」
「バレンタインのプレゼントだってさ。
 普通は女子が好きな男子にあげるみたいだけど僕は花君にあげたいと思ったんだ」

包装紙が取られ、中から出てきたのは予想通り、大きなハート型のチョコレート。
葉羽はそれを箱から取り出すと花の見ている前で半分に割り、片方を花に差し出す。

「はい、花君の分」
「はあ?」
「僕は花君の友達第一号として君を守るって決めたから・・・。
 正式に仲間になった今は尚更、喜びも悲しみも甘さも辛さも全部花君と半分こしたいんだ」
「・・・・・・」

陰りも偽りも無い笑顔。
出会った当初のダークな殺意など微塵も無い。
そんな笑顔を前にし、花は開いた口が塞がらなくなる。
何で引くのと再び葉羽が慌て出したその時、冷たい声と鋭い音が空気を裂いた。

 

「鬼は外」

 

ズキュン、と。
開いたままの花の口に撃ち込まれる何か。
喉の後ろまで貫通したのではないかと思うほどの痛みに危うく失神しそうになるが、辛うじて意識を繋ぎ留めた花は不意打ちを食らわせた狙撃手の姿を視認する。

「へ、へめーは・・・ほに!!」
「鬼じゃねーよ。許嫁の前で何イチャイチャしてんだてめー」

じり、じり、とオーバーソウルのショットガン片手ににじり寄るのは同じ学校の制服に身を包んだ少女。
ネイティブアメリカンであるパッチ族特有の健康的な小麦色の肌と目の覚める金髪、碧い瞳。
一般生徒の前では天真爛漫なキャラクターと人心を掴むパフォーマンスでカリスマ性を誇る彼女が彼の前だけで見せる真の姿は、自宅から一歩出れば怖いものなしの花をも足元から震え上がらせた。

「はにしやはんだへめー!ほれを殺す気か!!」
「あ?チョコで死ぬわけねーだろバカ。
 つーか体内にブチ込まれたってチョコなんて体温で溶けるんだよバカ」
「貫通前提かよ!!マジで鬼だろてめー!!」
「自分で鬼出すバカがエラそーに口ごたえしてんじゃねーよ」
「は・・・花君・・・」

壮絶な痴話喧嘩を止める事もその場から逃げ出す事もできずに腰を抜かした葉羽はその時気づいた。
2月。
大切な人に想いを伝えるバレンタインの前には、鬼をも泣かせる節分がある事に。

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